白血病で使用する抗がん剤
急性白血病は、その種類にもよりますが、抗がん剤がよく効くため、白血病細胞を排除して、骨髄が正常な血液を作り出せる状態に戻し、完全に治すことが期待できます。
急性骨髄性白血病では、一般的にはアントラサイクリン系薬剤とシタラビンが基本となります。例えば、IC療法(イダルビシン+シタラビン)またはダウノルビシン+シタラビンの2剤併用が選択されます。
再発または難治性で、CD33(タンパク質)が陽性の急性骨髄性白血病には、ゲムツズマブオゾガマイシンが有効です。
急性前骨髄球性白血病には分子標的薬のトレチノインが非常に有効です。単独でも用いられますが、多くの場合、他の抗がん剤(先述のシタラビンやダウノルビシン、ダウノルビシンなど)と併用されます。
急性リンパ性白血病では、VP療法(ビンクリスチン+プレドニゾロン)にアントラサイクリン系抗生物質(ダウノルビシンやドキソルビシン)の三剤が基本となっています。これにL-アスパラキナーゼ、シクロホスファミドが必要に応じて加えられます。
再発または難治性のT細胞急性リンパ性白血病(T-ALL)には、ネララビンが、初めて単剤での有効性が認められています。本剤は希少疾病医薬品の指定を受け、2007年に保険承認されています。
慢性白血病は、多くの場合、慢性期では薬でコントロールでき、普通の生活が送れます。
しかし、慢性期を経た後、未熟な白血病細胞が増加する(急性転化)ことがあります。とくに慢性骨髄性白血病の場合、これまでの抗がん剤による治療では平均3年で急性転化を起こし、亡くなる例が多く見られました。
その慢性骨髄性白血病の治療に大きな変化をもたらしたのが、分子標的薬のイマチニブです。
従来、慢性骨髄性白血病の慢性期には、ヒドロキシカルバミドやインターフェロン-αが標準治療薬でしたが、イマチニブはそれより高い有効性を示したので、高齢者では第一の選択薬となっています。慢性期では、治療を目的として、造血幹細胞移植が行なわれます。
急性転化した場合には、ビンクリスチンとプレドニゾロンを含む多剤併用療法が選択される場合が多く、シタラビン+アントラサイクリン系薬剤が用いられることもあります。