脳腫瘍で使用する抗がん剤
脳は最も重要な臓器であるため、人体はその防護的な構造として、有害物質が脳へ進入するのを防ぐ「血液脳関門」という特殊な血管壁を備えています。通常の抗がん剤は、この壁を通って脳内に入ることができないため、効果が期待できませんでした。
しかし、ニトロソウレア系アルキル化剤のニムスチン(ニドラン)やラニムスチン(サイメリン)は、分子量が小さいので血液脳関門を通過できるという特徴があります。したがって、多くの場合はニムスチンかラニムスチンが第一選択薬となります。
さらに、2006年にはテモゾロミド(テモダール)が悪性脳腫瘍の抗がん剤としては19年ぶり承認されました。副作用が少なく患者さんに優しい抗がん剤として期待されています。
テモゾロミドは前述の2剤と同様にアルキル化剤ですが、こちらは経口タイプとなっており、注射薬と薬物動態(薬が体の中に入った後、どのように変わって行くか)が同じであるところに大きな特徴があります。